「瑠叶を、連れて行かないで」

 花夜は、自分と瓜二つの顔をした少女に、言った。

 ああ、そうだ、と、私は心の中で頷く。

 彼女は、『瑠叶ちゃん』とではなく、『瑠叶』と私を呼んでいた。

 私は、二人の少女を交互に見つめる。

 私のすぐ傍に、藍色のリボンをした少女――深夜。

 その目線の先に、薄桃色のリボンをした少女――花夜。

「やっと、来たのね」

 深夜が、そっと呟く。

 そして、私に、言う。

「そう、あなたが出会ったのは、私じゃない。花夜――私の双子の、姉」

 そこでやっと、私は気付いた。

 深夜を見たときから、ほんの少しだけ胸に引っ掛かっていた――違和感に。




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