「もっと、早くに来ればよかったのに」

 深夜は、花夜にむけて呟く。

「・・・来るつもりなんて、なかったのよ」

 花夜も、小さく呟く。

「あなたが・・・瑠叶を、連れて行こうとするから・・・」

 小さく、深夜を睨む。

 深夜は、そんな姉に小さく微笑む。

「だって、こうでもしないと、自分で会いに来なかったでしょう?」

 その台詞に、花夜は返す言葉がない。見抜かれていた、というような雰囲気がある。

 会話の内容は、私にはわからない。それが何を意味するのかも。

 だけど。

「意味、わからないよね・・・瑠叶ちゃん」

 深夜が、私に言う。

 花夜も、私を見る。

 違和感は、不安となって、胸に広がっていく。

 彼女は。

 彼女達は。

「・・・私達は、本当はここにいるべき存在じゃない。私達は――死んだの」

 ひんやりとした空気は、私の周囲の全てを支配した。

 私の胸にあった違和感――それは。

 彼女達――否、花夜は。

 数年前に出会った少女は。

 私が出会った時と、姿がまるで変わっていなかったのだ。

 小さく幼い、少女のまま。




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