やはりそこにも緑は続き、木々とはまた少し違う色が横たわっている。

 その中に散らばる、白く小さな花々。

 ・・・ここに、来たことがある。

 何故か、そう思った。

 あたり一面に広がる、薄緑と白。

 長いこと忘れていて、けれど、その記憶が少しずつ蘇るような――

 そんな感覚が、あった。


 そうして。

「るかちゃん」

 視界の端から、呼ぶ声。

 それは、私の名前。

「瑠叶ちゃん」

 それを口にする、声は。

「あなたは――」

 一面の緑の中。花々の中。そこに。


 少女の姿が、あった。




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