CSLサイト内検索 help
[←戻る]
Snow Destiny3 -The last wish-
 Since 2004-



Log

スレッド1
スレッド2
スレッド3




スレッド1

「さて、年末は地球で過ごせそうだな」
 冥王星付近の資源調査をしていた惑星調査船スターダストは、帰国の途に着こうとしていた。
「な・・・なんだ!?」
 突然船内に警報が鳴り響いた。
「シリウスから異常なニュートリノを感知!これは…これは超新星爆発です!」
「なんだと!?そんなことになったら衝撃波で地球は大変なことに
 なるぞ!解析を急げ!それと地球に回線を開きすぐに報告しろ!」
「了解!」

 20xx年12月、運命が動き出した。


[ 親 63 / □ Tree ] [ 返信/引用返信 ] 削除キー/ 編集削除


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 64 ] / ▼[ 66 ]
[65]  Snow destiny third -The last wish- 1−2
□投稿者/ 薙笠しき -(2004/04/15(Thu) 22:02:33)


「それでは、本日をもって一ヵ月の休校とします。休みの間……休みが明けても、元気にここで会えることを……、楽しみにしています」
 講堂の舞台に立つ校長が、一つ一つ言葉を選びながら話を終えた。
 あのニュースがあってから、春が過ぎ夏が過ぎ。季節と共にクラスメイトの人数は減っていった。
 今日この講堂に集まった生徒も、全校生徒の三割にも満たないだろう。
 誰もそれを咎めない。
 あと一ヵ月の休校とは良く言ったもので、あと一ヵ月でこの学校が、この町が、そしてこの惑星が滅んでしまうのだから。
 まだ未発達の惑星へ望みをかけて旅立つ人がいた。
 悲観的になり、すさんだ生活を送る人もいた。
 地球を諦めず、留まって何とかしようと考える人もいた。
 そして……、別の惑星に望みをかけたくても宇宙に行く手段を持たず、かといって悲観的に考えることすら浮かばず、
ただ成り行きに運命を任せるような人も、いた。
「あと……一ヵ月ねぇ」
 講堂を後に、彼はつぶやいた。
 なるようにしかならない。成り行きに運命を任せる、そのタイプの人だった。

[ 親 63 / □ Tree ] [ 返信/引用返信 ] 削除キー/ 編集削除


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 65 ] / ▼[ 67 ]
[66]  Snow destiny third -The last wish- 1−3
□投稿者/ k-tn -(2004/04/17(Sat) 12:27:32)
□U R L/ http://csl.no-ip.org

「希望(のぞむ)、お前本当に残るのか?」
 たまたま近くを歩いていた……そう親しくもなかったクラスメイトが話しかけてきた。
 昨日の話では、彼は今日この後八ヵ月前にとったチケットで宇宙へ旅立つはずだ。
「ああ、俺は……ここで……」
 そこまで言って、すでにクラスメイトは他の人に話しかけているのに気づいた。
「…………」
 小さく息をついて、希望は家へと向かっていった。
 このまま昨日までと同じ。
 学校がなくなるだけで同じ日常をすごし、そして一ヵ月後を迎える、そのつもりだった。
 帰り道で、少女にあうその時までは。

[ 親 63 / □ Tree ] [ 返信/引用返信 ] 削除キー/ 編集削除


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 66 ] / ▼[ 68 ]
[67]  Snow destiny third -The last wish- 1−4
□投稿者/ 森本万理 -(2004/04/17(Sat) 16:02:24)


 帰り道、いつもとは違うルートで帰ることにした希望は、町の真ん中の公園を突っ切ることにした。
 ここの公園はそれほど大きいというわけではないが、敷地の真ん中には3メートルほどのもみの木が一本立っている。
 そのもみの木の下まで歩いてきた希望は、もみの木の根元にあるベンチに静かに腰を下ろす。
「・・・はぁー・・・」
 吐く息は白く、空は灰色。
 今にも雪が舞い降りてきそう・・・。
 そう思った希望の頭上からは雪ではないものが降ってきて、かしゃんと音を立てる。
 それは銀色の星。どうやらクリスマス用のオーナメントだった。
 降ってきた星に手を伸ばそうとした瞬間、やはり頭上から次々と星は降り注ぐ。
 金と銀、大きさもまばらの星たち。
 希望はふとベンチから腰を上げもみの木を見上げる・・・。
「・・・!あぶない!!」
 ・・・と、とっさに腕を広げ、何かを受け止めて地面に派手に倒れる。
「・・・いったぁー・・・」
 しばらくして希望の腕の中で少女は声をあげ、起き上がる。
 この国では珍しい青銀の長い髪に深い地球色の瞳。
 遺伝子の突然変異でもなければこんな神秘的な髪と瞳にはならない・・・。
 年は自分と同じくらいか少し下か・・・
 希望は自分の上に乗っている少女に見とれてしまった。
 少女は自分の下にいる人物に目を落とす。
「・・・ごっ!ごめんなさい!!」
 そう叫び少女はカーッと赤くなり希望の上から飛び降りる。
 希望はゆっくりと起き上がり、服の砂埃をたたきおとす。
「・・・いや、いいって。お互い怪我もなさそうだし」
 そして足元の小さな星を拾い上げる。
「この星、君の?」
 その言葉に少女はこくんとうなづく。
「うん、未来(みお)の星だよ。」
 少女―未来はしゃがみこんで星を集め始める。
「これ、木に飾るの?」
 希望もしゃがみこんで星を集めるのを手伝う。
「・・・うん。」
 未来は星のオーナメントをひとつに爪を入れて二つに分ける。
 中には小さな紙が一枚入っていた。
 希望はその紙を手に持ち広げてみる。
「星に願いを託しながら飾ってたの・・・」
 その紙にはこう書いてあった。
「わたしはこの地球(ほし)が大好きです。どうかこの地球を守ってください。」
 ・・・と。

[ 親 63 / □ Tree ] [ 返信/引用返信 ] 削除キー/ 編集削除


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 67 ] / ▼[ 69 ]
[68]  Snow destiny third -The last wish- 1−5
□投稿者/ 御厨るうき -(2004/04/25(Sun) 04:08:08)


(…そんな願い事で、この地球の危機が無事に済むんなら…苦労はしねぇよな…。)
 そんな考えが頭をよぎる。しかし、目の前の不思議な少女にはさとられたくない。
 希望は、愛想笑いを浮かべた。
「…今、『そんな願い事で、この地球の危機が無事に済むんなら、苦労はしない』って思ったでしょ。」
 未来が、にこやかに微笑みながら言った。
「……!?」
 希望は驚いて、言葉を失った。
(なんだこいつ? 人の考えてる事が分かるのか?)
「『…なんだこいつ? 人の考えてる事が分かるのか?』…そう、あたしは人の考えが分かっちゃうの…。」
 今度は寂しそうに…。
「…だんだんね…みんな希望がなくなっちゃってるの…。」
「…あと一ヶ月しか生きられない…こんな状況だからな…。」
 “希望”という名の少年が、絶望的な台詞を吐いた…。
「それじゃだめなの!地球に暮らす人たちが、地球を見捨てたら…地球は救えないの!!」

[ 親 63 / □ Tree ] [ 返信/引用返信 ] 削除キー/ 編集削除


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 68 ] / ▼[ 70 ]
[69]  Snow destiny third -The last wish- 1−6
□投稿者/ k−tn -(2004/04/29(Thu) 21:09:28)
□U R L/ http://csl.no-ip.org


「じゃあ、なんだ?」
 希望は声を荒げた。
「みんなが希望を捨てなければ、地球が助かるって言うのか?」
 そんなことはありえない。
 地球から一番近い星が爆発するのだ。
 テレビで聞いたことがある。星が爆発した時、そこで発生した衝撃波は20光年以上離れていないと分散されないのだ。
 4光年しか離れていないシリウスが爆発すれば、地球は何が起きても助かるまい。


[ 親 63 / □ Tree ] [ 返信/引用返信 ] 削除キー/ 編集削除


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 69 ] / ▼[ 71 ]
[70]  Snow destiny third -The last wish- 1−7
□投稿者/ 薙笠しき -(2004/04/29(Thu) 22:50:03)


「そう……だよね。もうみんな希望なんて捨てちゃったんだよね」
 吸い込まれそうな深い地球色の瞳から、つぅっと伝うものがあった。それが涙だとわかるのに、瞬きする間も必要なかった。
「いや、でも……」
「嘘言ってもダメ。未来にはわかるんだから」
 勝手にどこかで泣いているなら別にどうでもいいが、目の前で泣かれるのは困る。
 とっさに嘘ででもそれを止めようとしたが……。無駄だった。
 さっき考えを読み取られたばかりだと思い出したようだ。
「もう、誰も……、誰も……」
「……のことなんて……」
 未来の声を、誰かの悲鳴がが遮っていた。
 もともと小さな声だったから、ここ最近じゃあ日常茶飯事の悲鳴にすら言葉がかき消されてしまった。
「今なんて……?」


[ 親 63 / □ Tree ] [ 返信/引用返信 ] 削除キー/ 編集削除


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 70 ] / 返信無し
[71]  Snow destiny third -The last wish- 1−8
□投稿者/ 森本万理 -(2004/05/02(Sun) 01:52:48)


 希望が未来に聞き直す。
「・・・今、なんて言った・・・?」
 未来はうつむいたまま「・・・何でも・・・ないよ・・・。」と涙を拭く。

 希望は不安になり何か別の話題を振ろうと考えた。
 そうすることで、この暗い話題からそれようと必死だったのかもしれない。
「・・・『未来って俺より小さいけど、いくつかな・・・』って、未来は今度14歳になるの・・・」
 未来はまたも希望の心を読み、口にする。
「ぐはぁ!読まれてるし・・・!」
 ・・・しかも自分と同じ年か・・・!
「へぇー、同じ学年ってことは14歳かー。」
「また読まれたぁ!!」
 ・・・今度って誕生日近いのかな?
「誕生日?クリスマスイヴだよ。」
 思いを読んで読まれての繰り返しである。
「・・・クリス・・・マス・・・」


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 71 ] / ▼[ 73 ]
[72]  Snow destiny third -The last wish- 1−9
□投稿者/ 御厨るうき -(2004/05/03(Mon) 04:56:59)


(……なんてこった!その日は俺も誕生日だし…それに…地球の終わり予定日じゃねぇか!!…あっ!)
 暗い話題からそれようとしたら、ますます深みにはまってしまった。
「……うん…知ってるよ。だから…15歳にはなれるの。希望も未来と同じ日に産まれたんだね。じゃあ、いっしょに15歳だね。…なんだかうれしいな…v」
(!?)
 その笑顔を見た瞬間…彼は、今まで感じたことがない感情を感じた。
 ただ…まだ、たった14年しか人生経験がない少年には…それが何であるか理解できなかったのだ…。

[ 親 63 / □ Tree ] [ 返信/引用返信 ] 削除キー/ 編集削除


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 72 ] / 返信無し
[73]  Snow destiny third -The last wish- 1−10
□投稿者/ 森本万理 -(2004/05/20(Thu) 03:52:09)


 しかし、ひとつだけ希望の胸に小さな変化があった。

 クリスマスの星のオーナメントに、かなう可能性の極めて少ない願いを託す不思議な少女、未来。
 未来との出会いが自分を小さな変化へと導いていることは希望にもわかっていた。

「未来、星のオーナメント残ってたら貸してくれないか?
 希望は、不思議そうにする未来から星のオーナメントを受けとり、隙間に爪を入れ二つに分解する。
 そして、背負っていた鞄からノートとペンケースを取り出すと、ノートの一番後ろの白紙ページを破り取り、
ペンケースからは黒いマジックを一本取り出す。
 そしてなにやら文字を綴り出す。
「・・・希望?」
 未来は覗き込む。
「・・・希望・・・!」
 その綴り出される文字を見てうれしくなり彼に飛びつく。
「ば!ばか!字がぶれるだろ!!」
 テレながら叫ぶ希望を未来はぎゅっと抱きついて離れなかった。
「・・・あ・・・ありがとう!希望・・・!」

「オレもこの地球(ほし)が好きだ!だってこんなに素敵な星なんだぜ?どうか消えないでくれ!地球!! 希望」

 碧い水と青い大気を抱く地球。
 何十億もの尊い生命を生み、育み、無に還してきた地球。
 棄てちゃいけないの。守っていかなくちゃいけないの・・・。
 だって・・・

→先頭に戻る



--------------------------------------------------------------------------------



スレッド2
▲[ 74 ] / ▼[ 76 ]
[75]  Snow destiny third -The last wish- 2−1
□投稿者/ 薙笠しき -(2004/05/22(Sat) 01:10:28)


 未来と二人で飾られた星のオーナメントは、あれから一週間の時を経ても同じ場所に静かに並んでいた。
 あの日以来、希望は毎日この公園へと来ていた。
「未来はいつでもここにいるからね」
 その言葉に、何か期待を感じていたのかもしれない。
 言葉を信じて毎日、することが無いのも手伝って希望はあきもせずもみの木を眺めていた。
 24日の24時間を過ぎれば迎える地球の最期。そんなクリスマスを祝おうと思うものはいなく、
飾られているのはこの木ただ一本で、通りかかる人たちはどこか寂しげな表情を浮かべていく。
 雪が降りそうで降らない、そんな日々が続いていた。
「クリスマスには願い事が叶うんだよ」
 今日はそろそろ帰ろう……、と希望がベンチから腰を起こしかけると、そんな声が聞こえてきた。
「希望の願い、何度も何度も、この木は聞いて空に届けてくれるんだよ」
 笑顔で、しかし憂いを含んだその表情は、まるで泣きたくても泣き出さない、空と同じように見えた。
「地球はまだ生きてるんだから……」

[ 親 74 / □ Tree ] [ 返信/引用返信 ] 削除キー/ 編集削除


--------------------------------------------------------------------------------

▲[ 75 ] / 返信無し
[76]  Snow destiny third -The last wish- 2−2
□投稿者/ 紫 -(2004/05/23(Sun) 18:24:27)


「未来・・・」
 希望がその名を呟くと、木を見上げていた未来は振り向く。そして、笑った。
 まただ・・・。
 希望の胸の中に鈍い痛みが広がる。
 未来は再びもみの木を見上げた。
「地球はまだ生きてるのにね・・・どうしてかな・・・」
 どうして・・・
「どうして皆、希望を忘れちゃうのかな・・・」
 どうして・・・
「・・・どうして、そんな顔するんだよ・・・」
「え?」
 未来が驚いたように振り向く。
「まだ、望みはあるんだろ・・・?なのにどうして、そんな悲しい顔して笑うんだよ・・・」
 希望を忘れないで、と言ったのは未来だったのに、どうして・・・。
「願い事・・・叶うんだろ?!願うんだろう?!この地球を守ってくれって!!」
 わかっていた。
 自分達の手では、何も出来ないこと。地球を、救えないこと。
 だからせめて願った。未来が言ったように・・・希望を、忘れないで。
「皆が忘れてるから・・・俺達が願うんだろう?そして、思い出させるんだろう?」
 届く願いがあること。
 願うことを忘れないこと。
 この地球を・・・大切にしてきたこと。



先頭に戻る

Copyright(C) CSL software All right Resarved.