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● レーザースキャナの製作


● はじめに


レーザースキャナは,光源からのレーザー光を,ガルバノメータミラー(Galvo mirror)と呼ばれる高速で動作する鏡に あてることで,レーザー光の方向を制御し,スクリーン上にレーザー光の航跡を描くことで「光の絵」を作る,レーザー アートの中核となる装置です。 中核となる装置のため,中身は非常に複雑で,特にガルバノメータミラー部は高度な製作精度を要求されます。 一部のすごいひとはこれら全てを自作していますが, 一般人(や学生)がこれを製作するのはほぼ不可能です。 したがって,今回はガルバノメータミラーについては市販のモジュールを使用します。

● ガルバノメータミラーの購入


とはいえ…ガルバノメータミラーなんてものはどこにも売っていません。基本的にプロ用の機材ですので,なかなか手に入らず, あったとしても高価な場合がほとんどです。秋葉原でもほぼ見かけることはありません。
そこで…海外の通販サイトを利用します。ガルバノメータミラー(レーザースキャナキット)を取り扱っているショップとして,
・Laser show parts
が有名です。海外の通販サイトですので勿論言語は英語ですし,クレジットカードも必要 ですが,ほかでは手に入りませんのでしょうがありません。レーザースキャナキットは scanningのパートにあります。 価格も性能もいろいろなものがありますが,一番安価なものでも十分な性能を有していますので,一番安価なものもで問題ありません。

高い!と思った方は,
・E-bay
を使用する方法があります。E-bay(日本で言うyahoo!オークションのようなサイト。オークションと違うのは即決価格[byi it now!]があること) には,レーザースキャナキットが複数出品されており,価格も安いです。ただし,保障はありませんのでご注意ください。 「laser scanning galvo ILDA」で検索するとお目当てのキットに当たります。
ここで,ポイントとなるのはILDAとかかれているものを選ぶことです。ILDAはlaser showを実施するための 統一規格で,これに対応していると何かと便利です。
以下は,私がLaser show partsで購入したレーザースキャナキットの作例です。以下,組み込み状態で申し訳ありませんが,セット内容を紹介します。

購入したレーザースキャナキットの組立例

Laser show partsのキットは,一応単体でもスキャナを作れるようになっています。


ガルバノメータミラー×2(垂直方向/水平方向)

今回最も入手したかったミラー部分です。


アンプユニット×2(垂直方向/水平方向)

ミラー駆動用のアンプです。付属のケーブルでミラーと接続すれば,取り合えず最も調整や製作が難しいスキャナ部が完成します。


ILDAコントローラ

コントローラです。コントローラの中にはあらかじめレーザアートのデータと駆動用プログラムが書き込まれており,アンプユニットと 接続するだけで一定のレーザーアートを楽しむことができます…が,今回の目的は「自分で描いた動画をレーザーアートにする」ことなので 使用しません。勿論使用して絵を描いてみてもOKです。

● ベクトル出力回路(=D/Aコンバータ)の製作


レーザスキャナを使用して自分が書いた絵をレーザで描くには,コンピュータ内に記録された絵の情報をスキャナに伝えなければいけません。 通常ですと,USB接続の機器を製作し,専用のプログラムを書き…となりますが,プロならともかく普通の人にはハードルが高すぎです。 では,もっと簡単にできないか? 当時川越高校物理部の先輩方が考えたひとつの結果が「PCのオーディオ出力を使う」 ことでした。

オーディオカードから出力される音声信号は,256の階調を持つ電圧信号です。現代の機器はほぼ全てステレオですので,256階調×2チャンネルの 信号を使用できます。この電圧信号を適切に変換してレーザスキャナのX(水平方向)とY(垂直方向)に与えてあげれば……? はい,PCで 音楽を再生するだけでレーザーアートをコントロールできてしまう,というわけです。

とはいっても,PCのオーディオカードの出力をそのまま使用することはできません。何故なら,オーディオカードの音声出力は 「人の耳に心地よいように音楽を再生する」ために設計されています。しかし,今我々がほしいのは「レーザスキャナ を正確にコントロールするための信号」です。よって,PCのオーディオカードをこれに適するように改造する必要があります。

とはいえ,市販のUSBオーディオを改造するのは大変…という人のために最適なキットがあります。それが…

USB DACキット秋月電子製)

です。これなら組み立て式ですので,必要な部品を取り付け,いらない部品を取り外すのは非常に簡単です。 で…どこの部品を交換すれば言いかというと…


秋月USB DACキット改造箇所


このように改造します。ね、簡単でしょ?ほかの部分は説明書通りに組み立てればオッケーです。

さて,写真の改造がどういう意味があるか? といいますと,「オーディオ出力側に取り付けられたカップリングコンデンサを全て取り外した」 となります。オーディオ機器には通常,より良質な音を得つつ,かつスピーカやアンプの接続によってオーディオICの破壊を防止するために,カップリングコンデンサと 呼ばれるコンデンサが取り付けられています。理論的なことは省きますが,簡単に書くと,スピーカはコイル(=インダクタンス)でできているので,それに対応する キャパシタンス(=コンデンサ)が必要になるため取り付けられている…と考えてください。レーザスキャナにはスピーカのようなコイルはありませんので, これらのコンデンサは不要,ということです。ほかの部分はそのまま組み立てればOKですが,出力はオーディオではなく,レーザースキャナに信号を与えるための アンプに接続しますので,付属のオーディオ端子ではなくリード線を接続するといいと思います。

● 差動増幅アンプ回路の製作


続いて,ベクトル出力回路からもらった信号を,レーザスキャナキットが理解できる信号に変換するための,差動増幅変換+アンプ回路の製作です。先ほど製作した ベクトル出力回路の出力(音声信号)は,次の2つの問題からそのままスキャナに与えることはできません。

1)ミラーのコントローラに入力できるのは差動信号である
2)・ミラーのコントローラに入力する信号は最大±5Vである



1)差動信号を作る
差動信号…というのは,ある信号とある信号の電圧の差をデータとして取り扱う,信号伝達形式のひとつで,基準となる信号にノイズが混入しても,信号と信号の 電圧差さえ維持できれば確実に信号を伝達することができる方式です。で…勿論オーディオ信号は差動信号ではありません。よって,こーんな回路



を使用して通常信号を差動信号に変換してあげればオッケーです。実はこの回路,差動信号を作ると同時に,信号の大きさを約6倍に増幅できちゃう便利な 回路だったりします。

2)信号を増幅する
ベクトル出力回路からの出力信号は最大0.6V程度と非常に微弱です。したがって,レーザスキャナキットが認識できる5Vの電圧まで増幅してあげる 必要があります。(1)の差動回路でも信号増幅はできますが,下の信号が小さいためとても足りません。信号の増幅は,オペアンプを使用して,こーんな感じ



の回路でオッケーです。

で…これらの回路を組み合わせて実際に増幅回路を作ると…こうなります。



ユニバーサル基板で作れるように,コンパクトにまとめてみました。おかげでリード線を何本も使用する裏面のきっちゃない回路になってしまいましたが…。 なお,ここで使用した部品は全て秋月電子で手に入ります。がんばってみてください。


・・・ 以下執筆中 ・・・


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